『いわしという名の恋する仔猫』
アンチョビたべた
まんぷくこねこ
こくりこくりとゆめうつつ
いびきをかいた
まどろむこねこ
こくりこくりとゆめをみる
またたびなめた
へべれけこねこ
ふにゃりふにゃりのにゃんにゃんぷー
じだんだふんだ
おませなこねこ
しゃなりしゃなりとけんけんぱ
ワンピースのにあう猫背のあのこ
そんな大きな瞳でこっちみないで
そんなのはうそです
こっちをむいて
恋をした
恋をした
のらりくらり風来坊
いわしという名の恋する仔猫
彼のあたまはへんになっている
みえない世界に恋をしている
キスをした
キスをした
のらりくらり風来坊
ふたりであるく
なかよしこねこ
くるりくるりと金平糖
ふたりであるく
なかよしこねこ
きらりきらりと金平糖
『クヌルプ』
606擦り切れた
履き潰したチャックテイラー
靴ヒモ固く結び
ほどけないよ
彼の名はクヌルプ
漂泊の旅人
街並みに明かりを灯す
辿り着いた
人々は微笑み
彼を受け入れた
ひとりの女の子
クロワッサンを焼いた
月明かり
その色
灰色
目を覚ませよ
ハチミツキャンディ
ほっぺの裏で転がした
おはようを言わせてよ
606縫い直し
革を当てたチャックテイラー
靴ヒモ固く結び
ほどけないよ
『ドクトルペッパー』
ペッパー
ペッパー
ドクトルペッパー
ぼくはいつもちぐはぐさ
あなたはどんな刺激ほしい？
ウィルキンソンのジンジャエールのような
辛い刺激
ウィルキンソンのジンジャエールのような
甘い刺激
ペッパー
ペッパー
ドクトルペッパー
『つづきのはなし』
路肩の石に躓いて
よろけたんだっけ
たおれたんだっけ
なにがあった
あるきはじめた
たんなるのら猫
微笑んでみせて
そっぽむいて逃げた
潮に浮かぶ月でさえ
路肩の石に見えました
仔猫は鳴かない
そっぽむいて逃げた
あるきはじめた
たんなるオス猫
微笑んでみせて
そっぽむいて逃げた
『planet』
末っ子 TV 毛布かけて
跡形もなく噴煙が舞う
繰り返えされる映像に
磨り減っていった
三楽章が鳴っていた
プラネット
覗きこむ
世界の終わり
待っている
空 雲 雨 星落ち
漏らさないよ 光
『気ぐるいピエロさん』
おもしろくないとつまらない
道化にさよなら
愛するものをころす
気ぐるいきぐるみ
いやいやいやいや
白いリボン
ひどい色
少年は担い手
くるまれているんだ
愛するものをくらう
すすっちゃう血 血
いやいやいやいや
赤いリボン
不随意 プルチネルラ
青い空
白く濁った雲
ほほえんだ
ああ ねえ ぼく きみ
ころしてしまう
ほほえんだ瞳に
まんまるい涙をたたえているよ
きみはもう 泣いたり
笑ったりはしない
ぼくはなにも知らないから
かんがえなくていいことば
酒は毒か 未来みない
しばられるのはいや
愛するものをくらう
かわいいきぐるみ
いやいやいやいや
きらいなリボン
ほどいて ふるう
青い空
白く濁った雲
ほほえんだ 虹色 涙
ああ ねえ ぼく きみ
ころしてしまう
ほほえんだ瞳に
まんまるい涙をたたえているよ
きみはもう 泣いたり
笑ったりはしない
ぼくはなにも知らないから
かんがえなくていいことばを
